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報告:アンナ・ヤンポルスカヤ氏講演会

 2019年2月17日、慶応大学日吉キャンパス来往舎にて、ロシア国立研究大学経済高等学院のアンナ・ヤンポルスカヤ氏を迎え、講演会「後期レヴィナスにおける預言者的主体性」が行われた。

 ヤンポルスカヤ氏は、後期レヴィナスにおける主体性の預言者的な性格を、主体、神、他者からなる三つ巴の構造の重要な側面として取り上げ、カフカの『流刑地にて』にもみられる「心に刻印された法」という隠喩を手がかりにレヴィナス的な預言者の独自性を考察した。法の刻印という隠喩は主体の根本的な受動性を示しており、このような受動性によって自律と他律のあいだでゆらめく主体性が他者との倫理的関係をもちうることが論じられた。質疑応答では、レヴィナス哲学に限らず様々な角度から質問が行われた。ベルクソンの『道徳と宗教の二源泉』やアンドレ・ネエルといった他の哲学者・思想家における預言者という形象についてや、現れつつ引き下がるという両義的な現出の構造をもつ神の栄光を語ることの正当性に関する現象学的な論点など、議論は重要な論点に及んだ。

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