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ラモナ・フォティアーデ氏(グラスゴー大学教授)講演会+ワークショップ

ラモナ・フォティアーデ氏(グラスゴー大学教授)による講演会+ワークショップが行われます。


講演タイトル:

レオン・シェストフ――存在論と倫理(エトムント・フッサール、エマニュエル・レヴィナスとの出会い)


予約不要・来聴歓迎


日本語通訳なし(※ディスカッションの際必要であれば適宜通訳可)


日時:2019年7月6日(土)15時~17時(14時30分開場)


場所:早稲田大学早稲田キャンパス11号館812教室


連絡先:早稲田大学国際教養学部 長坂真澄 masumi.nagasaka@waseda.jp



講演概要:

Léon Chestov - Ontologie et Ethique (rencontres avec Edmund Husserl et Emmanuel Levinas)


La relation entre Léon Chestov et Emmanuel Levinas s’est construite à partir de la réception de l’œuvre d’Edmund Husserl en France, sur laquelle les deux penseurs exilés à Paris ont eu une influence considérable. On pourrait dire qu’à l’exception du livre de Jean Hering (Phénomenologie et philosophie religieuse, 1926) et de l’article que Georges Gurvitch publie en 1928 dans la Revue de métaphysique et de morale, suivi de son livre sur Les Tendances actuelles de la philosophie allemande, en 1930, les écrits de Chestov et de Levinas sur Husserl ont été les premiers à attirer l’attention sur les deux grandes axes de réfléxion permettant de penser l’être avec ou sans l’appui de l’éthique à partir de la phénoménologie. Ils ont ainsi durablement marqué l’évolution de la pensée française dans la période de l’après-guerre. La polémique qui oppose Jean Hering et Léon Chestov dans une série d’articles publiés en 1926-1927 sur les rapports entre la phénoménologie et la religion résume d’ailleurs très bien les divergences qui ne tarderont pas d’apparaître entre le philosophe existentiel et le jeune Levinas. Avant de nous pencher sur le compte-rendu du livre de Chestov sur Kierkegaard que Levinas publie dans la Revue d’études juives en 1937, nous allons donc examiner le rôle de l’éthique dans la conception de l’être des deux philosophes par rapport à la théorie de l’évidence dans la phénoménologie de Husserl.


レオン・シェストフとエマニュエル・レヴィナスとの関わりは、エトムント・フッサールの業績のフランスにおける受容を発端として構築された。パリへと亡命していたこれら二人の思想家は、フランスにおけるフッサール受容に顕著な影響を与えた。ジャン・ヘリングの著作(『現象学と宗教哲学』、1926年)、また、1928年に『形而上学・道徳雑誌』にて出版されたジョルジュ・ギュルヴィッチの論文、それに続くギュルヴィッチの著作『ドイツ哲学の現在の傾向』(1930年)を除いては、シェストフとレヴィナスが発表したフッサール論は、二つの大きな考察の基軸へと注目をひきつける最初のものであった。一方の基軸は、存在を現象学から、倫理に依拠して思考すること、他方の基軸は、存在を現象学から、倫理に依拠することなく思考することを可能にするものであった。かくして彼らは、戦後期のフランス思想の進展に強い影響を刻印したのである。そもそも、1926年から1927年に出版された、現象学と宗教の関係をめぐる一連の論文で繰り広げられた、ジャン・ヘリングとレオン・シェストフの間の論争は、かの実存哲学者と若きレヴィナスの間にまもなく現れることになる相違を、顕著に、また縮図的に示すものである。レヴィナスは1937年に『ユダヤ研究誌』にて、シェストフのキェルケゴール論への書評を発表しているが、この書評を検討するに先立って、我々は、これら二人の哲学者の存在の構想における倫理の役割を、フッサール現象学における明証性の理論と比較しつつ、検討しよう。(長坂真澄訳)


ワークショップ開催趣旨:

フッサールは『厳密な学問としての哲学』(1911年)において、歴史主義を相対主義、懐疑主義と共通の背理を含むものとして批判し、対して自らの現象学を厳密な学問として提示した。これを受けてシェストフは、「メメント・モリ」(ロシア語版1917年、フランス語版1926年)および「真理とは何か」(1927年)において、懐疑主義をめぐる議論を展開する。夢の中の夢、すなわち、夢から覚めつつあるものの、なおも覚醒にはいたらず新たな夢の中にいる「眠る人間」を例に上げつつ、シェストフは、フッサールが真理の起源におく、不可疑性であるはずの明証性が、常に揺るがされる状況を描写し、相対主義や懐疑主義の克服に疑問を呈する。


若き日のレヴィナスが、これらのシェストフの議論、及び、シェストフに対してフッサールを擁護したジャン・ヘリングの議論に慣れ親しんでいたことは、彼の初期論文『フッサール現象学における直観の理論』(1930年)での言及から、つとに知られているところである。フッサールの初期の著作にしか通じていなかったシェストフに比べ、レヴィナスはフッサール哲学における明証性の概念や、範疇的直観の概念の革新性を理解しており、彼はシェストフのフッサール批判には距離をとる。しかしながら、同時にシェストフの夢の中の夢というモチーフ、すなわち、明証性とそれに対する疑いが入れ子状に重なり、いかなる明証性にもたどり着くことがないというモチーフは、主著『全体性と無限』(1961年)や後期の著作『存在とは別の仕方で あるいは存在の彼方』(1974年)、『観念に到来する神』(1982/86/92年)など多くの作品に登場し、レヴィナスに、フッサールとは異なる固有の真理論の展開を促すことにもなる。それは、存在者なき「ある(il y a)」のモチーフや、懐疑論をめぐる議論、隔時性の概念などとつながって発展してゆくのである。

 本ワークショップでは、グラスゴー大学からシェストフ哲学の専門家であるラモナ・フォティアーデ氏(Lev Shestov Studies Society 議長、Lev Schestov Journal編集者)を迎え、シェストフ、フッサール、レヴィナスの議論の交錯をあらためて確認し、シェストフ哲学の魅力に触れるとともに、レヴィナスにおけるその受容の射程を図りたい。


(文責:長坂真澄)


https://www.gla.ac.uk/schools/mlc/staff/ramonafotiade/

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